さくさくブログ

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【異議あり!】日本の慣習?私の考えがおかしい?

たまには仕事の話を少々。

 

「日本」と、一括りにすると様々なご批判を頂戴するだろうと容易に想像がつくので、ここでは私の身の回りにおける日本国内の取引で感じている違和感について述べます。

 

私は食品関係の企画や商品開発をしているのですが、お客さんの中には問屋さんや商社さんのような会社もあります。我々の下請けさんは基本的に製造メーカーさんや原料、包材関係の会社さんが多いです。

そんな中、多くの問屋さんが「60日支払いで」と言ってきます。結構な勢いで交渉の余地無く言ってきます。私は断ります。笑

 

確かに下請法では60日以内に支払いなさいと規定されているので、違法ではありません。

(下請代金の支払期日)

第2条の2

 下請代金の支払期日は,親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず,親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して,60日の期間内において,かつ,できる限り短い期間内において,定められなければならない。

2 下請代金の支払期日が定められなかつたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日が,前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して60日を経過した日の前日が下請代金の支払期日と定められたものとみなす。

下請代金支払遅延等防止法:公正取引委員会

 

 

しかし一方で、”出来る限り短い期間内において”と付け加えられていますから、闇雲に全ての取引を60日にするのは完全に買い手側の都合です。私の会社はとても小さく吹けば飛ぶような(いやむしろ散り散りになる)レベルですから、現金や30日支払いで仕入れを行っている都合上、お客さんからの支払いが60日になってしまうと仕入れのタイミングによっては90日後に回収する状況も生まれます。

食品なんて単価が安くどんなに高く見積もっても粗利率で20%に満たない中、スケールメリット(または定期取引)で利益を見込むのが定石になります。

そういった背景がある中で60日の回収を当たり前にしてしまうと取引が大きくなればなるほど資金繰りが切迫するリスクが高まります。

 

さて、そこに貿易が絡むと更に我々にとって大きな問題が起こります。

「海外からこれこれを仕入れられますか?」と依頼が来た場合、海外との取引は基本的に前入金が多いので、物が届く前に資金を投入することになります。しかも海外取引で1c/sなんていう規模の買い付けは有りえませんから、20ftなどの大きな規模での取引になります。仕入れだけで数百万円に達するわけです。

しかし依頼主はそれこそ我々を間に挟むことで支払いを遅らせる戦略を取ろうとする訳です。

 

私は日本のこういう取引の慣習が大嫌いです。他社に負担を強いて利益を上げるビジネスモデルは何の創意工夫もなく社会の課題も解決せずしわ寄せを下請けに押し付けているだけの悪習だと考えています。

しかしながら当然、それを依頼される側にも問題があります。つまりその程度の価値しかないと言うことなのです。なので私は客から所謂伝票仕事のような依頼をされても基本的にお断りをします。問屋業は比較的代わりが見つかるからです。私は商品開発から受託することで、お客さんはその商品を販売するには私を通す必要が出てきます。スキームを他で作ろうとすると更に時間がかかりその分コストも上昇します。

 

一方で人口減少の中、食品業界は市場規模が非常に大きく22.5兆円規模(下記参照)となっており、東日本大震災で一度落ちてからは再び上昇傾向にあります。

国内加工食品 市場調査(7) 27カテゴリー412品目の加工食品市場 2016年を総括、分析

ただし、やはり経営環境が厳しくなってきているお客さんは支払いサイトを遅らせようと必死になります。

製造側では人手不足が続き、生産能力に限界がある中で人気の食品カテゴリにおいては製造側が商流の主導権を持つことも度々見られます。とりわけ代わりが少ないカテゴリは製造メーカーの取り合いになります。良い商品を作れないか引っ張れない企画会社や問屋さんは棚を取ることが難しい為、事業を拡大することもまた難儀となります。そういった中で小売店側からは支払いサイトを60日や90日でと求められている問屋さんが倒産のリスクを避けるため下請けに対し支払い条件を有利にしようとするのは至極当然のことと思われます。

つまりこの業界に身を置いている以上はそういう商慣習がまかり通っているので当たり前と言えば当たり前なのです。その上で市場環境の変化や製造メーカーの動向などにも対応していかなければ我々のような会社は潰れてしまいます。

 

話を元に戻すと、お客さんが支払いサイトを60日にしようとする意図はそれなりに理解していますが、やはりそれを前提とした形で成り立たせようとするビジネスモデルが今後も続けていけるのか疑問です。AmazonやAliexpress(Alibaba)を代表とする海外の商流が日本に流れ込んできている中、日本式の商慣習がいつまでも持つとは思えませんし、こういったツケの文化は村社会なら通用したかもしれませんが、取引相手が何者か深く理解している訳でも保証がある訳でもない中、いつどこが倒産するか先読みできない時代においてはリスクの押し付けあいが健全な取引の形とは私は思えません。

 

私も自身の会社のビジネスモデルのリスクや将来性に少なからず不安も抱えているので、今後どうするかは毎日考えています。資本が無いなら物量で勝負する市場に挑むべきではないのかもしれません。